響鬼最終話 追記

     細川さんは、明日夢君を守りたくて、そして最後まで守りきったのだなと、そんなことを考えたラストシーンでした。

     以下の考察は、私の勝手な想像が過分に入っていると思うので、話半分に聞いてください。


     『響鬼』をトータルで語る上では、P交代と路線変更について触れざるを得ません。
     後半を見ていて思ったのは、多分、上層部のお偉方の中に、『明日夢』というキャラクターが嫌いな人がいるんだろうなということでした。
     ある意味、明日夢君は前Pの分身だし。

     新体制では、あてつけがましく明日夢君の対極を行くキャラクターを新たに出してきて、まるでそっちの方が正しいことをしているかのような描写をする。
     視聴者にとっては、ただのストレスの種でしかありませんでしたが。
     旧体制の路線を守ろうとしている素振りはあるけど、どこかで旧体制を馬鹿にしているような、そんな新体制の分裂っぷりは見ていて疲れるモノがありました。
     新体制にとっては、明日夢君は『煮え切らない』ヤツとしてしか認識できなかったのでしょう。特に上の人が。

     けれど、
     人を傷つけない。
     余計なことはしない。
     醜悪な自己主張をしない。
     愚かさ故の過ちも犯さない。

     そんな明日夢君の慎み深さは、彼の美点でしょう?
     でも、感性が鈍磨している人には、多分そういう繊細さには気付けない。

     明日夢君は鬼にはならないというのは、旧体制からの方針だったと思います。
     前半でも、ヒビキさんが、
    「少年を弟子にする気はないんだ」と明日夢君に言ったり、
     ザンキさんに、
    「少年には男として何かを伝えられたらいいと思って」
     と言っていたから、ああ、そういう路線で行くのね、と。

     それは分かっていました。
     だから、明日夢君が鬼にならないことには別に異論はありません。
     私は単に、キリヤが後継者になりそうで、やっぱり本当になってしまったことが感情的に許せなかっただけです。
     なんとでも言ってください。嫌なモノは嫌なんです。
     ヒビキさんの隣で修行してるのが『あの』キリヤだなんて、見たくなかった。
     だったら明日夢君が鬼になった方がマシ。
     だから、『それはないだろうなあ』とこころのどこかで思いつつ、明日夢君が鬼になるバージョンとか夢想したりもしてたんです(11/27エントリ参照)。

     公式インタビューを見ると、やっぱり最終話も脚本に細川氏の手直しが入ってる気配が伺えました。多分ラストシーンは、細川さんがほとんど一人で作ったのでしょう。
     いやだってあれは正直、ヒビキさんと明日夢君と言うより、細川さんと楽人君の気配が濃厚に……。
    「俺についてこいよ」には思わず、
    (細川イズムやねえ)と微苦笑してしまいましたが。
     いや、もうこの際それでいい。それでいいんだ。茂樹GJ!

     しかし、現場で俳優達に直されるなんて、どんだけ元はガサツなホンだったんだか。
     でも私は、変えた方がいいモノはどんどん変えちゃえばいいと思うんですけどね。
     だって、私がしつこくお薦めしている『傷だらけの天使』だって、主役のショーケンは、気にくわない脚本だと、現場で変えまくって、出来上がった話が元のホンとは似ても似つかぬものになってたっていうもん。

     閑話休題。

    「僕は鬼にはなりません」
    「鬼になるだけが、俺の弟子になるってことじゃない」
     て、展開だったら、普通は、
    『そして二人は、それぞれの道を進むことを決めました。でも離れていても、二人の師弟関係は永遠です』
     みたいな感じに終わるはずです。
     夕日を背景に、二人のシルエットがそれぞれの方向に向かって別々に歩いていく……。
     そんなラストでも良かったんじゃないかと思います。
     キリヤさえいなければ。
     だっていくらその終わり方がドラマの方法論としては正しくても、それじゃあ今までヒビキさんと明日夢君の物語を見守ってきたファンは納得いかないんですよ。

     これだけは言っておきます。
     中村君は悪くありません。
     むしろ彼は、『こんな役だとは知らなかった。詐欺だ』くらい言ってもバチは当たらないと思う。
     中村君自身はとても素直で素朴そうな子だし、経験値も浅いから、公に文句も言えず、言われたことを律義にこなしていただけでしょう。
     中村君自身の演技力はこの半年で凄く伸びたのに、キャラクターの性格の変化をそれに追いつかせてもらえなくて、その面でも気の毒でした。
     なんで、もっとキリヤの性格を改善してやらなかったんだろう。凄く謎だ。そうしなかった理由が本当に分からない。
     だからみんな、中の人と役柄は、分けて考えなくちゃダメだぞ。おねーさんからのお願いだ。


    「僕は鬼にはなりません」
     という話から、
    「分かった。俺についてこい。俺のそばで自分らしく生きてみろよ」
     という流れになるのは、ドラマとしては本当は変なんです。
     でも、明日夢君を守るためには、こういう終わり方しかなかったろうなと思います。
     だってヒビキさんがそう言わなかったら、明日夢君がキリヤに、本来彼のあるべき位置を乗っ取られてしまったようにしかみえない。
     で、そんな「お話にならない」脚本なんか使えないと思って、細川さんが全力で直したんだろうと。そんなことを考えました。
     明日夢君を守るっていうことは、『響鬼』という作品が持っている『核の部分』を尊重することだから。
     細川さんはちゃんと、自分の作品を愛して、そして体を張って守ってくれたのでしょう。


     色々なことがありましたが、なんだかんだで1年間見続けたドラマは『響鬼』が初めてです。
     私は特撮ファンでもライダーファンでもないので、特撮ドラマの文法は分かりませんが、少なくとも前半の響鬼は、極めて破綻の少ない良質なドラマでした。
     正直、そこらのゴールデンタイムに放送しているドラマより、よっぽど面白かった。

     後半は路線が変わりすぎて、見ていて眉間にしわが寄るときもあったけれど、だからといってこの作品自体を否定したくない。
     「つまらなくなった」「安っぽくなった」「やっつけ仕事だ」と言うのは簡単なことだけど、そんな簡単な言葉で俳優さん達の頑張りや、それを見ているこっちの気持ちまで否定されたくない。
     関係者が確実に見ている場所で、口汚く罵ることに意味なんかない。
     
     このドラマに関わった人達に感謝と、そしてお礼を言わせてください。
     1年間お疲れさまでした。そして、ありがとう。
     素敵な人達を1年間見続けることが出来て、とても幸せでした。

     
     願わくば俳優陣には、このドラマに出演したことを、自分の誇りだと思っていて欲しい。
     そして、この経験を糧にして、次のステージにどんどん進んでいって欲しいと思っています。

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    Re: タイトルなし
    匿名コメント入れてくださった方へ。

    コメントありがとうございました。
    新着コメント通知を見て、久しぶりに自分の過去記事読み返して、(そういえばこんなこと書いてたなあ)と自分のことながら懐かしくなりました。
    他の記事もお読みいただいたようでありがとうございました。感想もらえて嬉しいです。
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    本日、仮面ライダー響鬼が最終回を迎えました。いろいろあった響鬼でしたが、関わったすべてのスタッフ、キャストのみなさん、お疲れさまでした。響鬼を観るにあたって興味の
    アレから1年経過した訳ですね・・・そんなに経ちましたかねぇ・・・今になって、色々思い出されてこそばゆかったりとかしてますわ。楽人くんに本格的に殺られたのは「四之巻」でだったので、そういう意味では、まだ1年は経ってないか。そんなのはどうでもいいか。...
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