ナショナル・シアター・ライヴ『フランケンシュタイン』感想1

    『フランケンシュタイン』再上映決定! ナショナル・シアター・ライヴ 2014年の全上映作品が正式決定
    ↑2月に見られなかった人も、再上映決定で見られる機会がまたできましたね。

    で、私は日本版と、スクリーン上映でオリジナル版を見ることが出来ました。

    ☆東山紀之&坂本昌行W主演で舞台『フランケンシュタイン』が上演
    ↑これの 怪物=東山、博士=坂本 バージョンと。

    ☆カンバーバッチ&J・L・ミラーがW主演 舞台「フランケンシュタイン」スクリーン上映決定!↑の、両バージョンを見ました。

    ジャニーズ逆バージョンも観たかったんですけど、チケットほぼ売り切れ状態だった。あーもう、ジャニ舞台でグローブ座だとこれだから。両方観た友人曰く、坂本怪物ver.のほうがアホの子っぽくて可愛かったそうです。うん分かる。

    【愛を求めてさすらう異形のもの】というモチーフは、いのうえ版【リチャード三世】という触れ込みだった【鉈切り丸】と共通する点があると思いましたが。終わり方が【鉈切り丸】はいかにも日本的だったけど、【フランケンシュタイン】はいかにも英国的だった。ちょっと意表をつかれた。ダニー・ボイル先生は、パラダイスロストをああいう風に解釈するんですかい。

    はい、では以下、ストーリーの感想。ネタバレです。役者の感想は後日別記事で(書けるといいなあ)。







     女性嫌悪症でネクロフィリアでマッドサイエンティストな天才博士が主役。で、この博士は、女とセックスなんか気持ち悪いから絶対嫌だし、自分の遺伝子を残したいという願望もそんなにないんだけど、でも自分が新世界の神となって何かを造り出したいから、屍体集めて錬成したら動くようになっちゃったんだけど、その後のこと何にも考えてなかったんで、取りあえず逃げてしまったら、あとが大変なことになっちゃった。てへぺろ★

    ・・・という舞台だった気がする、と、家に帰ってから原作既読の相方に話したら、
    「原作はそんな話じゃなかったと思うが」と言われた。
    で、相方からメアリ・シェリーの原作借りて読んでみたら、今回の舞台は前作準拠のはずなのに、確かにそんな話じゃなかった。

    フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))
    (1984/02/24)
    メアリ・シェリー

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    原作よりも舞台の博士の方が人間として遥かにろくでもなかった。
    その結果、怪物のやらかすことも、現象だけ見るとすげえ極悪非道になってた。

    舞台版のストーリーは、全般的にものすごい女性嫌悪を感じた。女性差別でも憎悪でもなく、嫌悪。もしくは恐怖。

    「あの化け物を殺して!」と叫ぶのも。
    生気を吹き込まれることもなく打ち捨てられるのも。
    怪物に穢されて殺されるのも、女。

    博士が婚約者のエリザベスに「私とセックスして子どもを作ればいいじゃない(意訳)」って言われて(そんなこと考えもしなかった)みたいな顔で呆然としてるのも、制作者サイドの女嫌いさからきてるんじゃないかなー。だって原作では博士も怪物も、あそこまで非道いことはやってなかったもん。舞台版のオリジナルテイストが、悉く女性を穢して壊す方向のベクトルに傾いてるのは何故なのかということを私の直感の元に考えてみた。

    原作者も日本版演出家も女性なのに、それでもここまで女性嫌悪が顕著に出てしまうんだから、英国版の演出家か脚本家はきっと女性嫌いかゲイかバイのどれかなんだろうなと思いました。とうていヘテロ男性の感覚とは思えん。やっぱりシェイクスピアの国は違うぜ。
    日本版を最初に見ちゃった時から、それは凄く思った。そして案の定、英国版の方が漂うガチゲイ臭が只事ではなかった。

    博士が怪物と対峙して、
    「喋れるのか? 素晴らしい。顔はハンサムに作れなかったが、体のバランスは最高だ(意訳)」みたいなこと言ってて。

    体? 体が目的だったの? 
    やっぱり男は顔より体の方が重要だとか思ってるの?

    これはゲイの視点だわwwwwって強く強く思いました。
    だってその後、博士は怪物に懇願されて女性体の怪物も一応作るんだけど、怪物の目の前で女性体ぶっ壊すんだぜ。ひどい。本当になんでヒドい【女】に対する憎悪。
    原作では「お前の言うことなんか聞いてやらないよーだ(意訳)」言うて、博士は女性体を作るのは途中でやめた。これも非道いけど、舞台の方が怪物に与える絶望がさらにひどい。

    「はははは。怪物、お前の主人は私一人だ。女なんてモノにお前の支配権は渡さない。お前は私だけのものだ、うははははっは」

    ・・・・などとは実際には言ってませんでしたが、そういう幻聴が聞こえたよ。なんてこったい。

    博士は多分、女の属性全てが嫌いなんじゃないかなあ。体の柔らかさも、非力さも、命を生み出す機能を持っていることに対しても。女にしかない特性に憎しみと羨望を抱いていて。

    「女になんか頼らなくたって、僕一人で命を造れるもん。だって僕天才だもん!」


    みたいな気持ちで怪物作っちゃったんじゃないかなー。

    【パタリロ】で、美少年キラーのバンコランが、なんか媚薬みたいなの盛られて女を抱きかけた後、我に返って「女の体はふにゃふにゃしてて気持ち悪い」みたいなこと言ってて、
    (そっかー。男の人が好きな男の人って、女のことはこういう風に思ってるんだー)
    っていうのが、ある意味私の【ヰタ・セクスアリス】なんだけど。
    (きっと博士もこういう感覚の人なんだわー)って強く強く思いました。力強く! そういやバンコランも英国人だったよな。英国人にゲイが多いって、もうあの頃から漫画家さんみたいに芸術方面にセンサーの高い人たちには、良く知られた事実だったのか? そんなこと全く知らずに読んでいた小学校低学年の頃の私。

    こんな恐ろしい原作小説を書いたのが、当時19歳くらいの若い娘さんだったという事実が一番恐ろしいわ。
    そんな原作者のメアリ・シェリーも、経歴がかなり業が深い感じの人なのである。

    文学界に名声を馳せた両親の元に生まれ、母親は自分を産んですぐに死亡。17歳で妻持ちの男と駆け落ちして子どもを産んで、でもその子どもすぐに死んじゃって。本妻が自殺してすぐにその男と結婚し。妊娠中に【フランケンシュタイン】書いて、でも産まれた子もさらに2人夭逝し、結局育ったのは4番目の子だけで、本妻自殺させてまで奪った男も、彼女が25才くらいの時に水死

    彼女は妊娠中にこんな小説書いてたのか。もの凄く胎教に悪そう。
    1800年代初頭の英国で、当時最先端の知識と思想に触れていた極端に賢い少女が、10代後半で妊娠して、子を孕んでおぞましく形を変えていく自分の体と、産み出しては消えていく儚い命を見ていたことが、作品形成に与えた影響を無視することは出来ないだろう。


    そう。あれは確か、私が中学生のくらいの頃でした。
    詳細は思い出せないけど。何かの本で、股ぐらから赤子の頭がコンニチワしてる瞬間の写真を、どーんとね。見ちゃったわけですよ。

    ・・・・・いやー。あれはショッキングだった。
    もうちょっと幼い時に見てたら、確実にトラウマ化してたね。
    出産は神々しいとか美しいとか神秘的とか言ってる奴いるじゃん。
    嘘だね。
    ありゃあ、そんじょそこらのホラーやスプラッタやゾンビ映画なんかよりよっぽどグロいよ。アレ見たら、恐怖映画なんて所詮作り事だって思うよ。屍体を切ったり張ったり動かしたりするより、生命の誕生の瞬間の方が、血とか粘液とか胎盤とかその他諸々に塗れてて、気持ち悪いと思った。

    ほら、出産に立ち会ったご主人があまりのグロさと生々しさにショックを受けて、それ以降
    ご主人のミッションインポッシブルになったって笑えない話もあるっていうじゃないですか。

    生殖ってアンチロマンティック☆

    私も一応女の体に産まれてはいますが、正直自分の女性性みたいなものには、もの凄く不自由さを感じています。ただひたすら女にまつわる様々なことが面倒くさい。
    月に一度の体調不良も。小さな体も。貧弱な筋肉も。女だということで不当な差別を受けることも。産む機械扱いされることも。自分の性に纏わる全てが面倒くさい。

    女の私ですら、自分の体の機能にいつまでたっても拭いきれない違和感と嫌悪感を持ってるんだから。
    女が嫌いな男が、女のいない偏った世界での完全無敵なパラダイスを作りたがる気持ちも、なんだか理解出来てしまった。

    それが故のあのオチだったのではなかろうか。

    いやー。舞台版のオチはホントヒドかったよね。3回見たけど3回とも爆笑しそうになったわ。だって、オンナコドモに対しては、【ナイフみたいに尖っては、触るもの皆傷つけた】どころか、犯すわ殺すわ、残虐の限りを尽くしまくってたのに、肝心の博士と怪物は、世界の果ての失楽園まで二人で逃避行だよ。

    ラストで唐突に雪の世界にいて、主従逆転で博士の方が奴隷扱いされてるやん。
    で、博士衰弱死。

    「お願い死なないでマスター。僕はあなたに愛されたかっただけなんだ。ほらワイン飲んで(意訳)」

    かーらーのー、まさかの息吹き返し。

    死なねーのかよ! もうここまでやるんだったら、口移しでやれよ!

    って突っ込みたい衝動を抑えるのに必死だったわ。

    でそのあと、怪物が、

    「さあ、私が欲しいなら、その火を飛び越えてこい!(意訳)

    て、潮騒のメモリーみたいな、ていうか乗り越えるのは火も潮騒でもなく雪なんだけど、そんな話になってて、二人で追いかけっこしながらフェイドアウト。

    本当にゲイのラブストーリーじゃねーか。しかもハッピーエンドじゃねーか!

    って、もう面白すぎて笑い転げそうになったのに、誰一人笑ってやしないので笑うに笑えなかった。当たり前だ。

    やーびっくりしたね。これ日本の話だったら、
    「お前を殺して俺も死ぬ」
    か。
    「一緒に死のう」
    ってなるじゃん。この展開なら普通そう考えるじゃん、ナチュラルボーン日本人的には。実際原作では博士の方は死んでたで。
    まさか二人とも死なないなんて・・・斬新!

    いやー、英国クオリティマジ凄いよ。そりゃあ、英国のタブロイド紙?かなんかで、シャーロック&ジョンがロイヤルカップル押しのけて
    【ロンドン☆ベストカップル】
    に選ばれちゃう国だけのことはある。やべーやべー。超好きだ(笑)。
    あー。ロンドン行きたい。誰か一緒にロケ地巡りとかしないか? GWあたり。



    多分続く。
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