<輪廻くん>感想 シーン6

    やっと終わった。
    <[実験]レポート>提出完了って気分だ。誰に出すのかって、自分にだよ。
    だめだ。観ながら考えてたことをなるべく書き残しておこうと思うと、どうしても長くなってしまう。
    だから前から言ってるでしょー。私は自分の脳内記録のためにブログ書いてるんだって。

    【鳥ト踊る】(観て来た。面白かった)には間に合わなかったけど、【第三舞台】には間に合った。良かった。


    <いままでの感想とか>
    [09/14]『輪廻くん』 初日
    [09/19]輪廻くん 千秋楽
    [09/23]輪廻くん 千秋楽 アフタートーク
    [09/25]<輪廻くん>感想 シーン1
    [10/03]<輪廻くん>感想 シーン2、3
    [10/15]<輪廻くん>感想 シーン4、5



    Scene 6.<Dear Mr.Reincarnation. Who are you?>


    ここから、また演者は高橋一生君になりました。

    前髪で表情を隠し、声も封印している一生くんのお芝居は、ちょおシリアス。
    銃口を額に押し当てるシーンなんか、迫真の芝居すぎて、心臓をぎゅうっと捕まれてしまったような気分になったよ、まじでまじで。

    なのに、その芝居の上を流れていくのは、謎の外国人風味のアフレコ音声(byノゾエさん)。
    なんなんだ、これは。ホット●ッパーのCMか?

    つーか。
    私にはあの、エセ外国人な喋りと声が氣志團の團長に聞こえて仕方なかったよ。
    いつ、

    「よろしくメカドック、ワンワン」
    とか
    「木更津ー! キャッツ! にゃー!」

    とか言い出すんじゃないかと、気が気じゃなかったよ。

    なんて書いてる人は、他には誰もいないようなので、やっぱり私の耳と頭がおかしいんだと思う。
    ああ、また私の頭の中を幻聴とか幻影が・・・
    違うから! 
    ここでは、わんこもにゃんこも、赤鼻のトナカイも関係ないから!
    いや、赤鼻は関係あったな。
    あの一生くんがつけてた赤くて丸いピエロのようなつけ鼻は、異人さんの魂のメタファーなのかな。

    しかし、なんかすごいねー。

    「俺は誰なんだ?」

    で始まった話が、

    「誰だよおまえ? つーか、ナニジン?」

    になっちゃったよ。
    話の軸が、1人称から2人称に変わって、世界の次元がいつの間にか転回しちゃった。
    この足元が揺らいで、くらくらと目眩がするようなトリップ感は、たーのしいねー。

    単に、
    「普通にやっても面白くないから、普通じゃないことやってみた」
    ら、こういう風になっただけなのかもしれないけど。
    いったいノゾエさんは、どこからこんなアクロバティックな演出を出してきてしまうのか。
    幼少期をアメリカで過ごして、いまでも英会話が特技だってことも関係してるのかな。
    思考のベースが英語なのかも。
    英語で夢を見るタイプの人なのかしらん。
    いや、実際のところは知らんけど。


    凡人の私が、脚本から普通に読み取れる通りに、一生くんが、白髪ヅラとか、老けメイクとか、老人の扮装で出て来て、老人風な芝居をやったらどうなるのか想像してみたんですが。

    ・・・・・・・・・・・・

    ドリフの老人コントみたいなのが頭に浮かんでしまった。

    「じーさんよー」
    「なんだい、ばーさんよー」
    「あーなんだってー?」


    みたいな古式ゆかしいアレな。

    いやいやいやいや。

    それはノゾエさんが指向する笑いとは、方向性がちょっと違うと思う。
    でも、個人的には、それはそれで見てみたいとか、ちょっと思っちゃったりしちゃって、すみません! 
    イッセー君がバカ殿ヅラで、真顔でコントやったら、なんだか面白いんじゃないかと考えたりしちゃって、本当にすみません!
    キワモノ趣味で、すみません!


    で。
    このエセ外人風なモノローグに気を取られているうちに、シリアスな芝居はどんどん進行し、そしていつの間にか彼の姿形は、別のものに変わっていました。

    (え? なに? この人、外国人だったの?)

    と思っていた人が、いつのまにか腰が曲がり、痩せ衰えた老人に変わっていました。

    衣装もメイクも、何も変えていないのに。
    髪で表情を。
    アフレコで声を。
    その両方を封印しているから、その分役者が、体で何を表現しようとしているのかが良く分かる。パントマイムのように、雄弁な体。

    そして、彼の最期の瞬間を表現する、手の表情。

    妻の布団を整える
    亡骸を撫でる。
    もう動かない冷たい手を握る。
    そして、彼の体から魂が抜けていく。

    そのすべてが、彼の繊細な手の動きで表されていた。


    手フェチ的には、あれはたまらない感じでしたね。
    (台無し感全開)
    もうずっとガン見。とにかくガン見。
    前から書いてるけど、私は彼の手が凄く好き。
    ひょっとしたら、顔より手の方が好きかもしれないくらい(え?)
    あとねー。肩幅と声も好きなのー。



    この話は、ウエットにしようと思えばいくらでも湿っぽくできるオチだったから、役者の芝居はシリアスにして、その上に敢えてへんてこなモノローグを重ねてみる実験だったのかな?
    これだと。

    お笑い×シリアス=せつない。

    の公式が導き出されるね。
    おお。なんだかこう書くと、『鈴木先生』みたいだ。
    そういえば鈴木先生も、「実験実験」言ってたな。
    男の人って、実験好きね。


    実験と言えば、この舞台、セットが凄く良くできてたのよね。ゲシュタルト心理学の『図と地(figure and ground)』を彷彿とさせる効果を持つ背景だった。

    透明の板に、ホワイトペンで一面にポップな感じの絵が描いてあって、最初は、
    (イメージイラスト?)って思ってたんだけど。
    この舞台、全部で6場あったんだけど、それぞれのシーンを表す絵が、いろんなところに描いてあったの。

    で、通常客の視線は役者(=図)に注がれてるから、背景(=地)は、
    <見えるけど、認識できない>
    状態なのね(図と地を同時に見ることは普通はできないから)。
    でもそれが必要なシーンになると、必要な場面の絵がそこだけ見えるようになるの。人間の脳は、自動的にそういう脳内カメラの切り替えを行うの。
    だから、今ここはどこで、役者は何をしているシーンなのかが、すっごく分かりやすくなってた。

    ほとんどセットを置かずに、(今どんなシーンなのかは、全部客の想像で補え)という舞台だと、客の脳への負担が大きすぎて疲れちゃうけど。
    こういう風に、必要な時だけ背景が見えると、変に疲れないから、話に集中できていいね。
    ちょっとトリックアートを見てる時みたいな気分だった。




    各シーンごとに全く趣向の違う演出で。
    虚実はくるくると入れ替わるし。
    場所も時間も人も魂も、あちこち行ったり来たりしているのに。
    客に提示される内容は、もの凄く分かりやすくて。
    その明晰さに感動してしまった。

    約80分という短い時間の中に、1人の人間の人生がぎゅぎゅっと凝縮されて、提示されている舞台でした。まばたきをするのももったないくらいと思えるくらいに見入ってしまいました。

    脚本の方は、最後の一行で、<エンドレス・エンド>になっていて。これは考え方によっては、結構な<バッド・エンド>だなあと思ったけど(まだ続くんかーい、みたいな)。

    今回の舞台は<ジ・エンド>って感じの終わり方で、個人的にはこっちの方が好きかも。

    これは、
    <迷子の魂が、家に還るまでの話>
    だったのだから。彼はもう、どこにも行かなくていいでしょう?


    というわけで、いろいろと深読みと考察しがいのある、とても良い舞台でした。
    面白いは正義っ!




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