鬼達の場外乱闘

     東雅夫編『響き交わす鬼』をざっと読んでみて初めて、この作品の背景には膨大な資料がそびえていて、民俗学的考証がかなりしっかりとなされていたことを知りました。
     私は特撮ものには興味がなく、『響鬼』を【仮面ライダー】とも【鬼譚】とも認識しておらず、単純にドラマとして楽しめる作品だなあと思って見ていました。
     しいて言うなら、私にとってこれはやっぱり、成長物語かなあと思っていました。
     良質なジュヴナイルを読んでいるような感覚が一番近かったかもしれません。

     『響き交わす鬼』の発売と響鬼の路線変更は、ほぼ同じ時期でした。
     (うわ、タイミング悪っ)と思っていたところ、東氏が自分のブログ
    http://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2005/09/post_303.php
    で、『30話からの響鬼は別物だ』と発言していて、肝を潰しました。
     もうこれ最初見たときは、悪意のある人がパラレルで書いたのかと思ったくらいで。
     だって公の人が、特撮番組の路線変更に対して、ここまで感情的で大人げのないリアクションするとは思ってもみなかったんだもん。

    それに対して『類似品にご注意』http://homepage.mac.com/cron/iblog/C1790922926/E20050913014643/index.html
    と返した白倉氏は、大人というか。頭良すぎてむしろ嫌味に見えてしまうなあと。

    そして「ご批判を請いたい」と言われたからって、嬉々として自らの鬼論をくだくだしく書いて返答してしまう東氏は、純朴なオタクらしいナイーヴさをお持ちだなあと。
     しかし。あの白倉氏の発言をまともに受け取るっていうのも……ねえ。
     あれは一種のレトリックというか、意趣返しみたいなものでしょう。
     白倉氏には別に、東氏の『鬼論』を聞いて勉強する気なんかさらさらなかったと思いますよ。そもそもそんな殊勝な気があったなら、映画を時代劇になんかしませんて。

     「時代劇が出来る仮面ライダーは響鬼しかない」、というのはさほど間違った考えではないと思いますが、本気で時代劇をやりたかったなら、人間と物の怪が共存していた平安時代に設定していたはずなんです。むしろそうでなければおかしい。
     旧響鬼の世界が内包している『妖怪』の資料はあまりにも膨大すぎました。それこそ、鬼の専門家達を驚嘆させ、それについて語りたい欲求を喚起するほどに。
     でも、白倉氏は彼らが思い入れている妖怪世界にさほど興味はなかったのだろうし、それらを理解するための時間もなかったから、映画を戦国時代に設定せざるを得なかったんでしょう。自分たちが作品に近づくのではなく、自分たちでも操れる世界に無理矢理『響鬼』という世界をもって来て無理矢理押し込めてしまった。だから細川氏はしつこく「これは時代劇じゃなくて和風ファンタジーだから」ってことあるごとに言い続けてきたのでしょう。
     白倉氏も教養としての妖怪知識はお持ちのようにもうかがえますが、それを『仮面ライダー』の中で用いることには、懐疑的ということも考えられますが。それは聞いてみないと分からないですね。 

     東氏が自分の『プロ』としての立場を乗り越えて、ここまで強烈なリアクションをしてしまったのは、多くのファンがそうであるように、自分が大切にしていたモノを突然『ないがしろにされた』ことに対する感情的な反発がそれだけ強かったのでしょう。
     オタク特有の能力を『見えないモノを読みとる力・見えないモノに形を与える力』だとするなら、【もののけ】という見えない気配に言葉や形を付与して愛でる妖怪ファンは、オタクの中でも特に精神主義に特化した人々なんでしょう。
     だから、今回の路線変更では、物質的なものよりも精神的なものを重視する人ほど、つまりオタクとしての純度が高い人ほど、深く傷ついてしまったんでしょうね。
     綺麗だなあと思って大切に育んできた箱庭を、よりにもよって一番嫌いなタイプの人間達に「こんなの大事にしてるなんて、趣味わりー」と、勝手にいじくられて、台無しにされてしまったようなものだもの。

    で、東氏の鬼論がこれでhttp://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2005/09/post_311.php
    それに対する白倉氏の返答がこう。http://homepage.mac.com/cron/iblog/C1790922926/E20050927011340/index.html

    ……だめです。どっちも言ってることが高次元すぎて、私には読んでもうまく理解できません。
     ただ、互いの理論の立脚点が違いすぎるので、永遠に話は噛み合わないであろうことは分かりました。
    ……不毛だ。

     しっかし、白倉氏ってほんと意地悪だなあ。
     なんかこれって、
    「今度家に遊びに来てくださいね」
    って言われてたから素直に遊びに行ったら、
    「社交辞令をまともにうけとってんじゃねえよボケ」
    って追い出された人みたい。
     うわあ(泣)。
     社交辞令をうまく判別できない私にとっても、この仕打ちは見ているだけでツライ。
     あまり純朴なオタクをいじめないでください。

     白倉氏は非常にクレバーな人だから、新体制の元で、それなりに商業作品としての『響鬼』を成立させるのだろうとは思います。
     でも多分彼には、オタクとかフリークスとかマイノリティの悲哀は分からないのでしょう。それを分かる必要も理解する必要もない人生を送ってこられたのでしょうし。
     で、こういう人はオタクの仮想敵になりやすいんです。世のオタクは、この手の人達から迫害されているという被害者意識を多かれ少なかれ持っているので、反発されちゃうんですよ。
     
     東氏はまだやってます。
    http://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2005/09/post_314.php これは何?
     意趣返し? 嫌がらせ? 単に馬鹿にされてるのが分かってないだけなの? 最後のだったらかなり嫌だなあ。

     この、オタクvs.非オタクの戦いはいつまで続くんでしょう。
     着地点なんか見いだせないと思うのに。
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