チャーリー と チョコレート工場

    最初から最後までネタバレありありです。未見の方はご注意を。



    ティム・バートンの映画を大雑把に要約すると、

    『どうしても社会から外れがちなオタク的主人公が、自分を虐げる厚顔無恥な輩に仕返しをしつつ、オタク特有の繊細な感性と気持ちの優しさを武器に色々と頑張って、ちょっといい思いをする話』

    が多いです。

    ティム・バートン自身が超オタクで、自己主張することを良しとするアメリカ社会においては内向的なオタクは肩身が狭く、そんな自分を虐げてきた連中への積年の恨みを、映画の中で晴らしているようです。


    という予備知識の元に、『チャーリーとチョコレート工場』を見ると、バートン節全開で、素晴らしく面白かったです。

    しかし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』あたりで、

    「いやーん、ジョニデ、超クールでかっこいいわーん」

    みたいな、にわかファンの女性が、この映画のデップ(工場主ウォンカ)を見てどう思ったのか、ちょっと隣に座っていた見知らぬおねえちゃんに聞いてみたい願望にかられました。くくく。



    主人公のチャーリーは、特に取り柄のないごく普通の少年ですが、彼以外の子たちは見事にクソガキばっかりでした。


    喰い意地の汚い子ども。

    勝ち気で一番病な子ども。

    わがままで贅沢病な子ども。

    自分の能力を過信している子ども。


    ティム・バートンは幼少時代、こういう目立ちたがりのガキどもに、さぞかし虐げられてきたんだろうなあと、にやにや笑いながら見ていたのですが、映画見た後に買ったテレビブロスのインタビューで本人が「このファンタジィは復讐のファンタジィなんだ」って言ってて、そのまんま過ぎてさらに笑いました。


    佇まいが醜い子ども達は、その醜さ故に、工場主のウォンカさんから盛大にお仕置きされます。

    チョコレートの河に突き落とされたり。

    膨張したり。

    生ゴミの中に落とされたり。

    異次元に飛ばされて縮んだり。


    そのたんびに出てくる、ウンパ・ルンパ族のダンスがいちいち笑えました。悪趣味で。

    彼らの歌やダンスにしても、工場内のセットにしても、ディズニーに対するあてこすり臭さに、にやにやしてみたり。

    ディズニーランドは、消毒殺菌された世界だからね。それは大人が子どもに与えたい理想の世界なんだろうけど、子ども本来の残酷さとか意地の悪さとか汚らしさを表現するなら、チョコレート工場の毒々しさの方が近いんじゃないかなあ。


    さて。

    ウォンカさんからのご褒美目当てに、チャーリー以外のクソガキどもは、そろいもそろって余計なことしたために自爆しまくり、労せずしてチャーリー勝利。

    でも、ウォンカさんは、

    「君が残ると思ってたんだ」とご満悦。

    やっぱり最初から狙ってやがったのか(え?違うの?)。


    チャーリー少年にウォンカさんは、

    「僕の工場をあげるよ。だから家族なんか置いて僕と一緒においで」

    と誘いをかけますが、

    「行かないよ。だって僕は家族が一番大切だから」

    とチャーリー少年はあっさりと拒否。


    家族に対してトラウマを抱えているアダルトチルドレン*1なウォンカさんは、衝撃のあまりカウチプレイ、じゃなくて、フロイト式精神分析まで受けます(カウンセラーはフロイトもどきのウンパ・ルンパ。この絵面のシュールさには心底笑いました。ほんと悪趣味で素敵だわ)。

    結局ウォンカさんは、チャーリー少年に付き添われて(ダ、ダメな大人)、絶縁していた父親のもとに行き、あっさりと和解。

    めでたしめでたし。

    とまあ、オタクのトラウマ&癒しというテーマ剥き出しの、極めてティム・バートンらしい映画でした。


    そういえば、ウォンカさんの父親は出てきたのに、母親が全く出てこなかったのはなんでだろうと思っていたら、興味深い記述を『内田樹の研究室』というブログの映画評で発見。(公的な人のブログにトラバをするのはなんだか怖いので、興味を持った人は検索かけて行ってみてください)

    そこによると、

    【アメリカ社会に隠された心性として、『子どもを遺棄した母親に対する憎悪』があり、本作で母親は『全くその存在を語られないこと』によって報復されている】

    のだそうです。

    ふーん、なるほど。アメリカはそうなのか。だから児童虐待に対する縛りが日本よりもきついんだな。親子の情も基本的には信じてないから、公権力がげしげし介入しないとダメなわけだ。

    日本人男性は、誰しもマザコンて感じがするけどね。その逆もしかり。

    母親と娘だったら、愛憎入り交じった複雑な心理の方がデフォルトかなあ。


    さて。

    この映画では一見、チャーリー少年は何にもしてないようにも見えますが、醜悪な自己主張も勘違いした行動もしない代わりに間違ったこともしなくて、大切なものが何かを最初から分かっているチャーリー少年は、ウォンカさん(=ティム・バートン=オタク代表)の考える、理想的な人間像なのかもしれませんね。


    という部分で、チャーリー少年と明日夢少年の佇まいはとても良く似てるなあ。

    と映画を見ながら思ったので、次回は無理矢理これ↑とからめた某特撮の話をまたしますよ。

    何故なら私も、オタクだから。

    共通点を見つけたら、無理にでも語りたくなるんだよ。

    ええ、オタクですから。


    *1:正確にはAdult Children of Dysfunctional Family(=機能不全の家族に生まれ、現在大人になった人)なんだけど、ウォンカさんの場合そのまんま直訳で【大人子ども】でいい気がする


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